日本では1980年代前半にインターネットが始まってから、早35年余り。この間、マーケティング手法も変化してきました。
ここ10年くらいは、「デジタル至上主義」と言われ、マーケティングと言えばデジタルマーケティングと考えられていましたが、今、マーケティングでは、デジタルマーケティングのみの戦略が見直されてきています。

私のお付き合いのある通販企業も、中元・歳暮のカタログ以外は、WEB広告、eメール、SNSのみで販促を行ってきました。
しかし、最近は、誕生日DMや、キャンペーンの告知も紙DMを活用するようになってきました。
そのような手法を「デジアナマーケティング」と呼んでいます。

デジアナマーケティングとは?

デジタルだけではなく、紙媒体または店頭プロモーションも含めたアナログ手法を絡み合わせて行うマーケティングのこと。

例えば、ある人が、WEB広告を見て、その広告をクリックしてWEBサイトへ行き、カタログ請求をしました。そのカタログが届いて少しするとeメールで特別なキャンペーンへの招待が届き、ついそのメールをクリックして、カタログに掲載されていた商品を購入した。などの「デジタルとアナログを組み合わせて購入まで結びつける」ようなマーケティングのことです。

なぜデジアナが必要なのか?

みなさまも自分のことを1人の消費者として考えたときに、「商品購入までの間にWEB(デジタル)とリアル(アナログ)を行き来する」ということをしていませんか?まさに現代の消費行動は「WEBだけ」とか「アナログだけ」ではなく両者が複雑に絡み合っています。

それは、消費者との直接取引のBtoCだけではなく、企業間取引であるBtoBのケースでも同じことです。以下は、ビジネスで使うシステムを導入しようとしたときの契約に至るまでのBtoBの行動例です。みなさまもこのようにWEBとリアルを行き来しませんか?

重要なのは「デジタルだけでは解決できない問題がある」こと

アナログ手法からデジタルマーケティングに転換したときはアナログでは解決できない問題があると言われていました。

それは「時間」と「コスト」です。どうしても企画~顧客へ到達するまでの時間がかかり、そして印刷などを考えると大きなコストがかかります。
それを解決できるということでデジタルが主流になりました。

しかし、デジタルが主流になった今だからこそ理解しないといけないことは、「①デジタルの接触数の少なさと開封率の低さ」「②主流になると差別化がしにくい」の2つです。

①の理由はアナログの代表格であるダイレクトメール(DM)と比較するとわかりやすいです。DMは顧客リストの全員(会員登録で住所の記入は必須のため)に送付できますが、eメールは記入してくれる方が少なく、またeメールを保有していない顧客もいます。スマホのアプリに関してもダウンロードを全員してくれるわけではありません。

要するに、接触できる人数がアナログの方が優れています。 そして、開封率ですが、(一社)日本ダイレクトメール協会の調査(以下グラフ)によると、紙DMの開封率はeメールと比べて約3倍の開きがあるといいます。

やりやすく効果が数倍になるデジアナは「eメール×DM」

では、効果が数倍になり、かつ、取り組みやすいのは何かというとデジタルはeメール、アナログはDMを活用することです。
Eメールは効果が落ちてきたと言われていますが、まだまだ主力の広告媒体であることは間違いありません。そのeメールとDMを絡めることで実際の企業も効果が数倍になった例があります。

例1:不動産販売業A社

戸建建売販売を行う不動産販売業A社は、オープンハウスに来た来場客やWEBでの資料請求客に対し、ステップメールを活用して、自動的に3回eメールを送り、物件に興味がある見込客が再度行動を起こしてくれるようにフォロー施策を行っていました。

【eメール施策状況】

・eメールの取得状況は、全体の約7割

・eメールの開封率は非常に低い

【問題点】

・来場客のeメール取得状況が低く、全員に接触することができない

・せっかくeメールで接触しても、見てくれない

【改善策】

・ステップメールの3回の内、2回が未開封の見込客には3回目はDMで送付

・eメールアドレスの取得ができなかった顧客には上記DMを送付。

【結果】

・改善前と比較して、フォロー施策の反応率が3.2倍に上がった

例2:通販会社B社

加工食品通販会社B社は、既存顧客へのキャンペーンの告知をeメール中心で行っていました。しかし、キャンペーンの反応に伸び悩みを感じ、デジアナでテストをしてみることにしました。

【テスト内容】

・既存顧客にはキャンペーンの告知を1人2回行う。

・既存顧客を2つのグループに分けて、グループ1には「eメール⇒eメール」、もう1つのグループ2には「DM⇒eメール」で告知をした。

・測定は、WEBサイトへの来訪をカウントする。

【スキームと結果】

・「DM⇒eメール」の方が約2倍の効果があった。

デジアナはますます加速すると予測

このように効果がある程度検証されており、結果が数倍にもなるデジアナ。

しかし、中堅中小企業においてはまだまだこのようなデジアナを推進している企業は多くありません。

他社が先に行う前に、みなさまの企業が先に行うことで顧客囲い込みを成功させて商売繁盛に結び付けてください。