マーケティング分析の中で比較的優しいのはデシル分析です。本当にこのデシル分析は実務でよく使います。デシル分析はご存知ですか?
デシル分析とは
マーケティング分析の中で比較的優しいのはデシル分析です。本当にこのデシル分析は実務でよく使います。デシル分析はご存知ですか?
デシル分析とは、
ある期間において、顧客を売上金額の高い順に並べ、顧客数を10等分にグループ分けをして各グループの特性を見つけるための手法。
です。
顧客セグメント分析の代表格です。
10等分した顧客グループについて、上位から「デシル1」「デシル2」・・・最も下のグループを「デシル10」と呼びます。
イメージはこのような感じです(表1)。
優良顧客顧客は誰か?
デシル分析は、顧客数・売上金額(累計購入額)・構成比・累計構成比で作成することが基本形です。ここから見えることは「2:8の法則」です。表1では、デシル2までで累計(売上)構成比は54.2%、デシル3までで69.8%となっています。
2:8にはなりませんが、このケースでは3:7になっているので「3割の顧客で7割の売上を稼いでいる」ことがわかります。近年ではこの3:7の比率が多いと感じます。
要するにデシル分析では、『優良顧客が誰か』を“購入金額で判断”することが出来ます。
間違いなくデシル1~3は優良顧客と言っていいですね。ちなみに、デシル4~6を中位顧客、デシル7~10を下位顧客と呼びます。
デシル分析と販売促進施策
ここで、「デシル1のみで構成比が90%=1割の顧客で9割の売上を稼ぐ」という状態になっていたとするとこれはバランスが悪いですね。
一部の優良顧客に頼りすぎです。いち早く、デシル2~3の顧客に対してもっと年間購入金額を上げてもらうためのDM施策を投入すべきです。
さらにデシル分析を活用するには“全体での購入回数・購入点数”、そして“1人当りの購入金額・購入回数・購入点数”、さらに“1回当たりの購入金額・購入点数”の項目を算出することで各グループの特徴をより理解することができます。
表2は、先ほどのデシル表に“全体の購入回数”、“1人当りの購入金額・購入回数”、“1回当たりの購入金額”を追加したものです。
こうすると、何がわかるかというと「優良顧客は何が理由で年間の購入金額が高いか」です。
“何が理由で“というのは「1回当たりはたくさん買わないが購入回数が多いのか」または「1回当たりまとめて多く購入するのか」です。
最も解明したいのは「デシル1がデシル2と何が違うか」です。
表2(赤囲み)を見てみると、デシル1は“1人当り購入金額”が16,070円でデシル2の約1.4倍あります。
“1人当り購入回数”はどうでしょうか?デシル1は5.2回、デシル2は3.8回で差は1.4回で約1.4倍の開きがあります。
そして、“1回当たり購入金額”はどうでしょうか?デシル1は3,088円、デシル2は3,076円です。
わかりましたか?デシル1と2の差は「1回の購入金額は差はないが、購入回数の違いにより年間購入金額の差がでる」ということです。
そうなると、優良顧客であるデシル1のような顧客にデシル2~4を引き上げていくには、客単価UP施策ではなく来店回数増加施策を行った方が理にかなっている、ということになりますね。
このように、デシル分析は「優良顧客を発見」し、かつ、「優良顧客の特徴をつかむ」ことができます。その傾向をつかんで、DMにてデシル4~6の中位顧客対策、デシル7~10の下位顧客対策を考えることができます。 セグメント分析の代表格のデシル分析、ぜひ行ってみてください。